DV被害者を守るための意見書を議会から国に提出
戸籍謄本の扱いについて、被害者保護の視点から、交付に際して配慮するなどの運用改善を求める請願が、被害者当事者から議会に提出され、それを審議し採択しました。同時に、議会として、戸籍法改正を含めた法整備を国に求める意見書を可決しました。
★石渡の解説
DV被害者の被害者支援措置では、例えば、住民票などの住所地がわかる情報は、加害者側から写しの交付の請求があっても、行政に申し出て、これを拒否することが可能です。
しかし、戸籍謄本については、住所の記載がないことから、支援の対象には含まれませんでした。むしろ、戸籍謄本は、不動産売買や相続手続に必要な書類として、戸籍法第十条で公開を原則としています。そのため、虐待加害者が親などの場合は、戸籍を取得することで、被害者が結婚したり、家裁手続きによる氏名変更などをした場合に、その情報を入手できてしまいます。
いまの社会は、SNSやネットの発達で、氏名の検索により、被害者の住所地や勤務先まで特定されるリスクがあります。
私たち港区議会は、虐待被害者本人からの請願を受けて、港区に、戸籍事務処理に際して配慮をするよう求めました。同時に、国に対して、戸籍法の改正を含めた法整備や、実効性ある対策を求める意見書を提出しました。それというのも、戸籍事務は、市区町村が、法令や法務省の通達に基づいて処理を行うことから、一自治体の努力に限界があり、自治体間で被害者支援に差が出ることもおかしいからです。
また、被害者が請願の説明をする際に、プライバシー保護のため、発言をする被害者の姿が見えないよう遮へい措置(議会のついたてを利用)をとるなど、最大限の配慮をして慎重に質疑をしました。