品川駅西口地区の再開発 〜「飛天の間」の行方
令和8年度、港区議会・予算委員会において、同じ会派の斎木議員を通じて、品川駅西口地区の再開発計画に関する重要な問題提起を行いました。
テーマは、品川駅の西に位置するグランドプリンスホテル新高輪の宴会場であり、歴史的建造物である「飛天の間」が取り壊し予定の中、その文化的価値をどう守り、未来へ継承するかという問題です。
「飛天の間」とは
品川駅西口地区では、大規模な再開発計画が進んでいます。この計画対象エリアの中に、昭和を代表する建築家・村野藤吾の晩年の傑作「飛天の間」が含まれています。
テレビの芸能人のディナーショーや披露宴、さらにはドラフト会議などで目にしたことがある方も多いかもしれません。しかしその建築史上・工芸史上の価値は、華やかなイメージをはるかに超えたものです。
たとえば天井には、今では入手困難な「マド貝」が散りばめられています。谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』で謳ったような、日本の職人技の粋を尽くした空間であり、一度失われれば、二度と再現することのできない唯一無二の工芸作品でもあります。
ただし、その文化的価値について、再開発計画を取り上げた委員会などで、十分に扱われたとは言えないと評価しております。

再開発計画の内容 〜「飛天の間」の取り壊し〜
現在、品川駅西口地区では大規模な再開発が計画されており、すでに地区の一部では工事が開始しています。
「飛天の間」を擁するグランドプリンスホテル新高輪の敷地は、2棟のビルが新しく建築されるB地区に指定されており、当ホテルは今年度中に営業を終了し、解体が開始するとのことです。解体作業が終了したのち、現時点では2028(令和10)年度から着工が始まります。

(建設予定の2棟のビル。 下記PDFより引用。)

(再開発予定図。「飛天の間」はB-1地区の左下部分に位置しています。 下記PDFより引用。)
B地区の再開発では、以下の目標が掲げられています。 (出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/9024/announcement1/111233/00.pdf)
①品川駅とまちの連携を強化する歩行者基盤・緑地空間の拡充
・品川駅と周辺市街地の回遊性を高める歩行者ネットワークの形成
・地区の中心となる公園と連携した緑地空間や歩行者ネットワークの結節点における広場・オープンスペースの充実
②国際交流拠点の形成に向けた多様な都市機能の導入
・品川駅西口地区を代表するMICE機能を有する複合交流拠点の整備
③防災力強化と環境都市づくりの推進
・帰宅困難者支援や避難場所としての機能強化による地域の防災力強化
・地区の骨格となる緑地空間の創出と環境負荷低減の推進
以上に挙げられた目標は、「飛天の間」の存続と両立しうるのではないか。
2025年末、開発事業者である西武ホールディングスは次のように公表しています。
「西武グループは、長きにわたってこの地が育んできた豊かな緑と趣深い歴史を活かし、未来にその価値を継承することを目指します」
であれば、飛天の間という具体的な歴史的建造物の文化的価値についても、港区として正面から向き合い、議会でも十分に議論すべきではないでしょうか。解体予定ではありますが、区への情報提供の中でこの建物の価値がどこまで検討されたのか、現時点では十分とは言えない状況です。
質問
土木委員会の質問では、以下の2点を問いました。
①この素晴らしい空間を、地域の子どもたちや区民に公開してほしい
再開発が進む前に、飛天の間の価値を広く知ってもらう機会をつくるよう、区から事業者に働きかけをお願いしました。
②近隣住民への説明を、より丁寧に行ってほしい
近隣の方々からは、説明がまだ不十分だという声が届いています。
たとえば、この地域は広域避難所にも指定されていた場所ですが、長期にわたる工事期間中の対応についても、住民への案内がないままです。区から事業者に実情を伝えてほしいとお願いしました。
これから
グランドプリンスホテル新高輪、そして「飛天の間」は、周囲の中低層の住宅地の街並みに馴染むように建てられました。この景観が良いから、高輪に住んでいるいう方もいらっしゃいます。そんな皆様が中心となった、住民団体「飛天の間を愛する会」が今回、声をあげてくださいました。「愛する会」の皆様は、再開発反対などの事業者を困らせる注文でなくて、事業者と共に未来にこの地の景観を繋げていきたいそうです。
地域に愛され、先端都市の知恵を尽くして、再開発の新たな潮流を生み出す素晴らしい展開が今後生み出されるよう、私たち議会も見守って参ります。
